店長の指示が部下に伝わらない5つの原因|目的・期限・確認の伝え方

採用・人材戦略

部下に指示したのに、違う作業をされた。期限までに終わらない。「聞いていません」と言われた——。店舗ではよくある悩みですが、原因を部下の理解力ややる気だけに求めても改善しません。

指示が伝わらないときは、まず目的・担当・期限・完了条件・理解確認の5項目がそろっているか確認します。内容が正しくても反発される場合は、日頃の信頼関係や伝える場面も見直します。

店長の指示が部下に伝わらない5つの原因

原因部下が迷うこと改善する一言
目的がないなぜ行うのか分からない「週末の来店増に備えるためです」
担当が曖昧自分が行う仕事か分からない「この作業は〇〇さんにお願いします」
期限がないいつ着手すべきか決められない「今日17時までにお願いします」
完了条件がないどこまで行えば終了か分からない「値札とPOPまで確認できたら完了です」
理解確認がない認識違いに気づけない「最後に手順を確認してもいいですか」

「分かりましたか?」と聞くだけでは、多くの部下は「はい」と答えます。確認するときは、部下自身の言葉で最初の行動や完了条件を説明してもらう方が、認識のずれを発見できます。

伝わる指示の型|目的→担当→期限→完了条件→確認

忙しい現場では、指示を長く説明する必要はありません。次の5項目を30秒で伝えます。

  1. 目的:何のために行うか
  2. 担当:誰が行うか
  3. 期限:いつまでか
  4. 完了条件:どの状態なら終わりか
  5. 確認:最初の行動と不明点を確認する

悪い例と改善例

悪い例:「棚替えしといて」

改善例:「週末は家族連れが増えるので、入口側の商品を見つけやすくしたいです(目的)。〇〇さんが(担当)、今日17時までに(期限)、上段の棚替えと値札・POPの確認までお願いします(完了条件)。最初にどこから始めるか、確認してもいいですか(理解確認)」

経験の浅いスタッフには手順も伝え、慣れているスタッフには目的と完了条件を共有して方法を任せます。全員に同じ説明量を使わず、習熟度に合わせることが大切です。

指示内容が同じでも伝わり方が違う理由

現場では、不思議なことが起こります。

同じ内容を注意しているのに、ある上司の言葉は素直に聞いてくれる。

でも、別の上司が言うと素直に聞いてくれない。そして、本人のいない所で愚痴を言う。

これ、現場ではありがちです。

例えば、

・仕事のミスを繰り返したスタッフを注意したとき
・私語をしているスタッフを指導したとき
・清掃がきちんとできていない点を注意したとき

こういう場面です。

同じ内容を伝えても、
「すみません、気を付けます」
となる場合もあれば、

「でも他の人もやってますよね?」
と反発される場合もある。

この違いは、“言い方”だけではありません。

実は、「誰が言ったか」が大きく影響しています。

部下が上司についていく“5つの理由”

現場リーダーが部下を動かす影響力を表した図表

部下が上司についていく理由を語る際に参考となる考え方があります。

この考え方は、社会心理学では「社会的勢力」と呼ばれています。

少し難しい言葉ですが、簡単に言えば、

「人は、なぜその人の言葉を聞こうと思うのか」

を整理した考え方です。

現場向けに言い換えると、こんなイメージです。

  • 報酬勢力 「頑張ったら評価してくれるかも」
  • 強制勢力 「逆らうと怒られる」
  • 正当勢力 「上司だから従う」
  • 専門勢力 「この人、本当に仕事ができる」
  • 準拠勢力 「この人についていきたい」

ここで大事なのは、
「上司がどう思っているかではなく、部下がどう感じているか」という点です。


「上司だから」では、人は動かない時代

長年現場に立ってきましたが、
今は「上司だから」という理由だけでは、
人は動きません。

もちろん、
強く言えば、その場では従います。

ただ、裏では、

・必要最低限しか動かなくなる
・上司がいない場所で手を抜く
・報連相が減る

こうした状態になりやすいです。

特に最近は、“納得感”
を重視するスタッフが本当に増えました。

だからこそ、現場では
特に「準拠勢力」が重要になります。
※準拠勢力 「この人についていきたい」と思わせる力のこと

つまり、「この人のためなら頑張ろう」
と思ってもらえる力です。


「誰が言ったか」がすべてを左右する

部下に対して、どれだけ正論を言っても、どれだけ立派な言葉を使っても、部下が無意識に見ているのは、

「何を言ったか」より「誰が言ったか」です。

この「誰が言ったか」を支えている1つが、まさに準拠勢力です。


現場で本当に信頼される上司の特徴

では、部下から信頼される上司は何をしているのか。

実際は、特別なことではありません。

例えば、

・忙しいときでも新人を放置しない
・ミスしたスタッフを人前で必要以上に責めない
・自分だけ楽な仕事に逃げない
・帰る前に「今日はありがとう」と声をかける

こういう日々の積み重ねです。

逆に、部下は意外なほど細かい部分を見ています。

「自分では出来ているつもり」でも、

・新人スタッフへの態度が雑になっていないか
・仲のいいスタッフとの接し方に変化がないか
・忙しいときほど口調が強くなっていないか

こういう部分は、かなり見られています。


まとめ|伝え方と信頼関係をセットで整える

人は、「正しいことを言う人」ではなく、「信頼している人」の言葉を聞きます。

これは現場に立てば立つほど、強く感じます。

もちろん、知識や指導力も大切です。

ただ最後は、日々の行動の積み重ねが、部下との信頼関係を作ります。

もし、「最近ちょっと出来ていなかったな」と思う部分があれば、

明日、一つだけ意識してみてください。

部下との関係は、意外なくらい小さな行動から変わっていきますよ。

日々の行動とあわせて、部下への関わり方を知識から整理したい方は、「ビジネスマネジャー検定の受験レビューと現場での活用体験」もご覧ください。主任と一緒にマネジメントの基礎を学び、仕事で感じた変化を紹介しています。

信頼される上司の行動チェックリスト

□ 部下と1日1回は会話している

□ 結果だけでなく、過程も言葉にして認めている

□ 忙しいときほど、口調や態度に気を付けている

□ 新人・ベテランで態度を変えていない

□ 注意するとき、人前で必要以上に責めていない

□ 「ありがとう」を言葉にして伝えている

□ 部下が困っているとき、一度は声をかけている

□ 自分だけ楽な仕事に逃げていない

□ 小さな約束でも守るようにしている

□ 部下から見られていることを意識している


もし、1つでも
「最近できていなかったな」
と思う項目があれば、明日から一つだけ意識してみてください。

現場の信頼関係は、
特別なテクニックではなく、
毎日の小さな行動の積み重ねで作られていきます。

あわせて読みたい