リファラル採用の導入で失敗しない方法|サービス業店長の現場で役立つ注意点

リファラル採用の実体験のまとめ。メリットや注意点など。 採用・人材戦略

お疲れさまです!

ここ数年で本格的に普及してきた「リファラル採用」について、私が店長を務めるお店で導入した結果「良かった点」「注意点」を現場目線でお伝えします。

いや~、しかしどこも人手不足が深刻ですね。

リファラル採用とは何か?

リファラル採用とは、「すでに働いているスタッフから友人・知人を紹介してもらい採用につなげる手法」のことです。「うちのお店で一緒に働いてみない?」という、スタッフのつながりを採用に変える仕組みですね。

元々、日本には「縁故採用」という形で存在していましたが、別名コネ入社とも呼ばれており、明確な採用基準もなく、単に身内や紹介者との関係維持が目的など、どちらかといえばネガティブなイメージがありました。違いを表にまとめるとこんな感じでしょうか?(自分でエクセルでまとめましたので見づらかったらすいません)

リファラル採用と縁故採用の違いを一覧にした表

リファラル採用のメリットと注意点

リファラル採用導入のメリット

1)定着率が高まりやすい

紹介されて入社した従業員は、職場内にすでに相談できる知人がいるため、心理的安全性が確保された状態からスタートできます。本人が辞めたいとなる前に相談者が引き止めやすいです。あと、新しい職場に話ができる人がいるという安心感がある点も大きいですね。

ただし注意点があり、紹介者(特に役職者やベテラン)が面倒を見すぎると、周りが不公平感を持つことがたまにあります。紹介者には「最初の1週間だけフォロー役」など、役割を切って渡すのが安全です。

2)現場の雰囲気に合う人材が集まりやすい

サービス業はスキルも重要ですが、テンポや空気感でそのお店に合う合わないが出ます。スタッフはその感覚をよく知っているので、合いそうな人を連れてきやすい。ただし、これも落とし穴があって、「仲良しグループ化」するとチームに支障が出る場合があります。同じ関係性の人ばかり採るのは、長期的にみると危険です。

3)求人広告費の削減

こちらは当然の内容ですが、基本的に紹介してくれた従業員にインセンティブを支払うのみなので、求人媒体に1人あたり数十万円を投じるよりもはるかにコストを抑えることができます。ただ実際は、リファラル採用のみで求人がカバーできているわけではなく、私の店舗では他の求人媒体も利用しつつ並行して採用活動を行っています。

4)スタッフのエンゲージメントが上がる

紹介者は紹介した責任を感じるため、少しでも働きやすいお店にしようと当事者意識が芽生えます。①他の従業員に紹介する、②新人スタッフが困っている点を代弁してくれる、③その他気づいた所を報告してくれる回数が増える、④改善点の実行は積極的に行ってくれる、等のプラス面があったこともメリットの1つです。

導入にあたっての注意点

1)人間関係と人材配置に配慮する

結構多いのですが、

  • 恋人・夫婦・同居:シフト希望が同一になりやすい。
  • お店で上下関係ができる紹介:後輩が地元の先輩を紹介→注意できなくなる
  • 仲良し同士の大量流入:一部のグループが強くなり、他の従業員が働きづらくなる

という状況になるパターンがあります。一定範囲内では融通をきかせますが、内容や要望が増えてくると難しい時があります。本人達に事前に説明することで回避しましょう。また、対策例としては、以下がありますので、参考にしてください。

  • 同じ時間帯・同じポジションに固めない(どちらかを別配置)
  • 紹介者が教育係にならない(させたとしても一定期間で終了)
  • トラブル時の相談窓口は店長(または主任)に一本化(紹介者に背負わせない)

2)紹介者の心配事に対しての対応が必要

もし採用にならなかった場合、紹介者との関係にヒビが入る可能性があります。また、ここを曖昧にすると「店長が悪者」になって終わります。必ず、先に「不採用でも紹介者の評価は下がらない」と伝えておきましょう。

例:「今回は募集条件と合わなかった。紹介してくれたこと自体は本当に助かった。次に合いそうな人がいたらまた教えてほしい。」

というフォローを入れるようにしましょう。

3)明確なルール設計

上の1)でも触れましたが、よく私のお店であるのが「僕のパートナーが入社したがっているのでパートで採用できませんか?公休日や勤務時間などの条件は同じで」です。非常にありがたいのですが、本人の希望とお店の条件が合わない場合も多々あります。事前にルールを定めて従業員に伝達することが大切です。

導入で失敗しないために事前に取り決める内容とは?

1)紹介者受付の上限を決める

たまに当たり月なのか、1ヶ月に数名の紹介があるときがあります。ありがたいのですが、いくら人材不足だと言っても、そこまで何名も採用できるわけではありません。事前に「毎月〇名まで」と上限を設けた方がいいと思います。

2)適用範囲

導入時に従業員に対して説明する際、必ず大切になる部分です。

  • 募集するのは 社員/パート/アルバイトどれか
  • 必須条件(例:週〇日、土日どちらか必須、繁忙帯に入れる等)
  • 必要資格や経験のありなし
  • 人柄など(挨拶がしっかりできる・元気が良い)

3)インセンティブの条件

紹介してくれた従業員へのインセンティブをどうするか決めます。

大体は、入社時に100%渡すというよりも、

・入社時50% + 3ヶ月継続時50%(出勤率は80%以上)

など一定の条件を設けることが一般的だと思います(定着しないと意味ないですから)

※インセンティブ設計に関しては、就業規則への反映・高額すぎるインセンティブはNG・賃金、給料その他これらに準ずるもので支払うことなどの法規制がありますので、導入の際はしっかり調べてくださいね。

4)シフトや評価のポリシー

  • 紹介者がいるからといって 必要以上には希望シフトを優遇しない
  • 仕事の評価も 通常通り(紹介者の顔を立てない)
  • 採用基準も同様にする

これを明文化しないと、入社後のチームの雰囲気が悪くなります。

5)紹介者の責任範囲の明確化

紹介者に求めるのは、基本 「声かけ」と「初日のフォロー」までと決めておきます。本来、教育・面倒・指導は店の仕事です。紹介者に責任を背負わせてしまうと、紹介制度そのものが止まります。

リファラル採用がうまくいかない時の考え方について

社内の関係者に聞いた内容ですが、リファラル採用がうまくいかない時の考え方として、

「協力してくれる従業員数×1人が声を掛けてくれる人数×採用率」

という公式があります。

要するに、「現状、協力してくれる従業員数はどれくらいなのか」「1人あたり声を掛けてくれた人数は?」「採用率はどれくらいか」この3つのどこに原因があるのか?を考えるということです。

・どうやって協力してくれる従業員数を増やすか

リファラル採用導入後は、「積極的に声掛けする」「知り合いからの相談や機会があれば声を掛ける」「おススメしたことない」この3パターンに分かれると思います。あくまでも体感ですが、積極的に声を掛けてくれる従業員は全体の1~2割でしょうか?それほど多くないのです。またおススメしない層が一定数存在します。「知り合いなんかいません」なら致し方ないのですが、可能な範囲で課題を特定し克服することが重要です。

・1人あたり声を掛けてくれる人数をどのように増やすか

知り合いの数にも左右されるのですが、お店としては少しでも従業員がおススメしやすい店舗づくりに向けて改善を重ねていくべきです。例えば、従業員間の人間関係がこじれている・急にシフトがコロコロ変わる・キャリア機会がない、などのマイナス面が多いお店は中々紹介しづらいですよね。社内の従業員にアンケートを取る・過去の退職者の退職理由などを参考に問題点を改善しましょう。

・どのように採用率を高めるか

ここでの採用率とは「声をかけた人数のうち最終的に採用に至った割合」のことですが、もう少し詳しく見ようとすると採用率も分解することができます。

・応募率(応募してくれた割合) × 面接参加率(応募した人が面接にきた割合) × 合格率(採用基準を満たす人の割合) × 入社率(実際に入社した割合)

このどこか(もしくは複数)に問題があるはずなので、原因を調査した上で対策を行いましょう。私のお店では、大体合格した人はそのまま入社に繋がります。ただ、特に導入初期に起こりやすい問題として応募率と合格率が低いことが挙げられます。合格率改善に関しては、お店が採用したいと考えている人材をはっきりさせたうえで、事前に説明しておくことが重要です。

リファラル採用前に店舗で行うべきこと

上記でも述べましたが、結局、リファラル採用とは、働いているスタッフが友人・知人を紹介して採用につなげる手法なので、働いているスタッフに「この店を紹介したい」と思ってもらえないと成功しません。

採用活動の用語で「EVP」というキーワードがありますが、どこにお店ならではの魅力があるのか?そしてどこに課題があるのか?を考えて、店長は行動に移していく必要があります。さくっと既存従業員に聞いてもいいですし、店長が日頃から感じている改善点への対応、競合店舗がどのような工夫をしているのかチェックし、優先度とコストパフォーマンスの観点から順に対応していくのが良いかと思います。

色々と書きましたが、私のお店もリファラル活動に関してはまだまだ改善の余地があります。それでも少しでも参考になればと思い、過去の体験をもとに注意点を挙げてみました。

少しでも、皆さまの採用活動のお役に立てれば幸いです。