【店長向け】次年度の店舗戦略に使える!サービス業フレームワーク6選(具体例つき)

サービス業店長が店舗戦略立案時に活用できるフレームワークが分かる図 店長の戦略と実行

お疲れさまです!

年が明け、お店によっては「次年度の店舗戦略、そろそろ考えないと…」と頭の片隅で気になってくる時期ですよね。?私も徐々に準備を始めないといけないのですが、毎年ほんと大変です…

そこで、少しでも皆さまのお役に立てるように、

私自身がB2Cサービス業の店長として、また中小企業診断士として(あまりこちらは活動できていませんが…)サービス業の戦略立案に活用できるフレームワークをご紹介したいと思います。

■そもそもフレームワークとは?

今回はサービス業で主に使うフレームワークを説明していくわけですが、本来、世の中には覚えきれないほどのフレームワークが存在します。ところでフレームワークの価値とはなんでしょうか?

【フレームワークの価値とは】

意思決定と実行の精度を上げるための「共通言語」と「思考の型」を提供してくれるツール。

どういうことかというと、

①フレームワークが存在することで、考える視点の抜け漏れを防ぎ、考える範囲を広げることができる。
・ずっと店舗のサービスのことを考えていたが、4Pというフレームワークがあれば、そういえば価格や広告についても考えないと、ってなりますよね。

②重要な課題を素早く特定できる。問題点に対するいくつかの原因を分解し、当たりをつけやすくする。
・思い込みで原因を決めつけがちですが、フレームワークがあると広い視野で原因を探ることができます。

③施策の優先順位を誤らない
・重要な課題を特定できることで精度の高い施策をスピーディーに取り組むことができます。

④組織の合意形成が速くなる
・上司に根拠の薄い提案をするより、フレームワークを活用・分析してから提案するほうが、相手の説得度合いが高まります。

フレームワークは、答えをくれる魔法の道具ではありません。ただ、店長の意思決定と実行の精度を上げる「考え方の型」として強力なツールです。

■フレームワークを使用する時の注意点

便利な反面、下記の内容に注意しましょう。

①「型」にはめることが目的化する

  • フレームワークの項目を埋めることに満足してしまい、本来の「目的に沿った店舗戦略を立てる」ことを忘れないようにしましょう。

②「思考が硬直化」する

  • フレームワークに頼りすぎると、その外側にある「思わぬ前兆」や「例外的な成功事例」を見落としやすくなります。

③「過去の成功法則」への依存

  • 過去に成功したからといって同じフレームワークを活用し続けると、外部環境の変化やイノベーションが必要な場面では、既存の型が足かせになることもあります。

④「具体的な施策」の欠如

  • フレームワークに基づいて分析・整理したものの、現場で「明日から何をすべきか」という具体的なアクションが分かりづらいことがあります。
項目有効性(メリット)デメリット(リスク)
効率性思考をショートカットできる思考停止に陥る可能性がある
視点全体を俯瞰できる枠の外にあるチャンスを見逃す
共有チームの認識が一致する画一的な答えしか出なくなる
アウトプット論理的で説得力が増す現実との乖離が起きる

要するに、

  • フレームワークは、思考の道具であって答えではない、ことを十分に意識しておく
  • 枠の外を意識的に疑う
  • 埋めることだけに満足せず、So What?(だから何?)を繰り返す

ことが重要です。

■サービス業のお店で使用できるフレームワークの紹介

それでは、6つのフレームワークをご紹介します。

①7P

7Pはサービスマーケティングを成功させるにあたって、具体的な施策を考えるために活用できるフレームワークです。サービスの体験全体を7つの視点で考える際に活用できます。

一般的に、マーケティングを考える際には、具体的な戦略を立てる際に役立つ、マーケティングミックスというキーワードがあります。マーケティングミックスを考える際に代表的である4Pがあります。

  • サービス(Product):サービスを体験することでお客様が得る価値
  • 価格(Price):支払う金額の納得感
  • 提供する場所(Place):どこでサービスを提供するか
  • 販促(Promotion):お客様に知ってもらう方法

この4Pも重要ですが、さらにサービス特有の要素である

  • 人の対応(People):接客内容やスタッフの存在
  • 提供の手順(Process):サービスの提供手順
  • 物的証拠(Physical Evidence):店内の清潔感、設備、サイン、制服

この3つの要素(3P)を加えた7Pで考えた方がより具体的な施策を検討できます。

サービス業は、従業員と接する機会が多いですし、どれだけ親切な従業員がいても提供スピードが遅い・ミスがあったらNGです。またサービスの満足度はサービス終了後に分かることが多く、本当にこのお店で大丈夫かどうかを判断するため、従業員の清潔感などの身だしなみや店舗の清掃状況や雰囲気で判断します。

例えば美容サロンなら、

  • サービス:カット技術と仕上がりの満足
  • 価格:腕前と釣り合っていると思える設定
  • 立地:通いやすい場所にある
  • 人:笑顔で話を聞きながら提案できるスタイリスト
  • 販促:Instagramでビフォーアフターを発信
  • プロセス:予約→受付→カウンセリング→施術→会計まで迷わない導線
  • 物的証拠:明るい店内・清潔なクロス・高級感のある鏡やセット面、が該当します。

「技術だけでなく、お客様のサービス体験を7つセットで考える」と覚えましょう。

②狩野モデル(Kano Model)

狩野モデルとは、1980年代に狩野紀昭氏によって提唱された、顧客満足に影響を与える品質をタイプ別に整理する考え方です。

代表的には「当たり前品質・魅力品質・一元的品質・無関心品質・逆品質」の5つに分けます。

  • 当たり前品質:満たされて当然のサービス・ここが出来ていないと大きく不満足に繋がる
  • 魅力品質:あると非常に満足度が高まる品質・無くても不満足には繋がりにくい
  • 一元的品質:品質が良いほど満足が上がる・逆に悪いほど満足が下がる
  • 無関心品質:満足度にほぼ影響しない・あってもなくても気にしない
  • 逆品質:やりすぎると逆に不満を引き起こす、です。

回転寿司チェーンを具体例に挙げると、

  • 当たり前品質:皿や寿司が清潔で提供される
  • 魅力品質:子供向けガチャ(おもちゃ抽選)が無料で回せる
  • 一元的品質:提供スピードが早いほど評価が上がる
  • 無関心品質:寿司に関係ない店内の告知物
  • 逆品質:常連客だけ優遇しすぎて新規客が入りづらい空気、が該当します。

日々の業務で、当たり前品質が維持できているか確認し、次に魅力品質を少しずつ増していくように設計します。また、十分な検討を行わないまま新サービスを提供したものの、顧客側からみると無関心品質になっていることがあるので注意が必要です。

③SERVQUAL(サーブクオール)

SERVQUALは、お客様がお店にもつ期待と実際の体験の差でサービスを評価し改善するモデルです。体験軸には「信頼性、反応性、確実性、共感性、有形性」の5つがあります。

  • 信頼性:約束通りできるか
  • 反応性:迅速な対応ができているか
  • 保証性:知識や説明で安心させられるか
  • 共感性:個人の気持ちに寄り添えているか
  • 有形性:設備や見た目で安心材料を作れているか、です。

具体例は携帯ショップです。

  • 信頼性の差:2時間で契約できますと言われて4時間かかった
  • 反応性の差:質問の返事が翌週だった
  • 確実性の差:プラン説明が曖昧で不安だった
  • 共感性の差:家族割の相談に冷たい態度だった
  • 有形性の差:カウンターが散らかっていた、です。

クレームの原因になりうるこの5軸で分けてメモし、どこで期待とズレたのかを整理すると改善の打ち手が早く見えます。

④カスタマージャーニー

カスタマージャーニーは、サービスの利用に至るまでのプロセスを可視化したものです。お客様が「認知→関心・興味→情報収集→来店→利用→再来店」の順でどう感じ、どう行動するかを理解し接点を設計する考え方です。

具体例はハンバーガーチェーンです。

  • 認知(知る):駅前の看板やロゴを見て店の存在に気づく。
  • 関心・興味(気になる):SNSで新作バーガーの写真を見て食べたいと思う。
  • 情報収集(調べる):スマホでメニューや口コミ、営業時間を検索して確認する。
  • 来店:週末の昼に店舗へ入り注文カウンターに並ぶ。
  • 利用:セットを注文し味や提供スピード、店内の快適さを体感する。
  • 再来店:体験が良く、翌週また同じ店で注文する。

商品や価格だけでなく、お客様が認知する前の気持ち・店に入る理由・使った後の余韻まで想像して行動に移すと次回の来店率が上がります。

⑤サービス・プロフィット・チェーン

サービス・プロフィット・チェーンは、「従業員向けに職場環境を整える→従業員満足→サービス品質→顧客満足→再来店→利益」という連鎖で成果を説明するモデルです。

  • 従業員満足:働きやすさや話を聞いてもらえる頻度
  • サービス品質:接客・提供・トラブル対応の安定感
  • 顧客満足:期待通りまたはそれ以上の顧客体験
  • 再来店:また来ようと思う意思
  • 利益:お店側の儲け、です。

具体例は家電量販店です。

常に人員不足で休憩が取れない

売り場で声を掛ける回数が減る・説明ミスが増える

顧客満足度が低下する

次の購入に来なくなる

結果として売上・利益が落ちます。

逆に、休憩・シフト・提案対話を整え、1on1で現場改善の声を聞く等の従業員満足に取り組むことで、サービス品質が上がり、結果顧客満足につながるという考え方です。

特にサービス業は「利益は人の状態から生まれる」とこの連鎖で理解すると現場の優先順位を間違えません。

⑥サービス・ブループリント

サービス・ブループリントは、サービス提供の流れを、見える業務(表)と見えない業務(裏)に分けて整理する方法です。

  • 見える業務:お客様が目にして触れる部分
  • 見えない業務:お客様からは見えないけれど満足を支えるお店側の業務、です。

具体例はカフェです。

表側:来店→挨拶→席案内→注文→提供→会計
裏側:豆の発注・抽出手順の統一・新人トレーニング・機器の温度チェック・店内清掃の点検、等です。

仮に、提供が遅い原因が「抽出温度の設定ミス」や「手順のばらつき」なら、表の接客を頑張っても限界があり、裏の改善が必要になります。

表だけでなく裏を設計すると、見える満足が勝手に安定し、評価が上がると覚えると成果が出ます。

■まとめ

ここまでフレームワークを紹介してきましたが、いちばん大切なのは「目的もなく使おうとしないこと」です。あくまでもフレームワークは知識をひけらかすためではなく、店長が迷わず判断し、行動するためのツールです。

次年度の店舗戦略を考えるときは、
・今いちばん困っていることは何か
・それを整理するのに、どのフレームが一番合うか
この2点だけを意識して、1つ選べば十分です。

課題・取り組むべき内容は店舗ごとに違いますし、完璧な戦略を作る必要もありません。大事なのは、フレームワークを使って考えが整理され、やることが決まることです。

参考になれば、幸いです。